うつ病診断のための診察について①

検査や診断基準でうつ病であることを診断することはもちろん可能ですが、それはあくまでも医師の診察ありきで受けることができると考えたほうがよいでしょう。

患者の心の声を聞き、患者がどのような状態にあるのかを慎重に見極めることができるのは人間である医師だけだからです。

うつ病の専門家である精神科医が診察を行い、うつ病という「病気」に該当する精神状態なのかを判定するということです。

実際には、うつ病の診察はどのように行われ、患者はどのような問診を受けるのでしょうか?

①主訴

主訴というのは、文字通り主な訴えという意味ですが、患者が現状「もっとも困っている訴え」のことを指します。

その「いちばん困っていること」をしっかり共有するということは、治療を円滑に行うためにとても大切なことといえます。

例えば、落ち込んでいて何も楽しくないのか、倦怠感で家事ができないのか、不眠で昼間に眠くなってしまい仕事に支障が出るのか、ストレスで胃の調子が悪かったり食欲がなかったりするのか、患者の訴えは人の数だけあるといえます。

食欲がないことがいちばん困っている患者に胃薬ではなく不眠の薬を処方するなどの見立て違いを引き起こすことはもってのほかです。

主訴を元に、何を解消してあげれば患者のうつ状態が改善するのかを患者とともに模索していくのが医師の役割といえましょう。

②発症までの経過

医療機関を受診するまでに患者自身がどんな経過をたどってきたのかも、診断を確定するためにとても大切な情報といえます。

・発症の原因となるような明確な精神的ストレスがあったのか?・・・仕事が激務であったり、受験や人間関係などのストレスがあったか、患者の生活からそれを知る必要があります。

・最初に症状を感じてからどのくらい経っているのか?・・・診断基準の通り2週間程度の症状で診察を受けているのか、半年以上悩まされておりクリニックに行くのをためらっていたために通院が遅れたのかでも、診断や治療内容は変わってきます。

・どんどん悪化しているのか、それともある時を境に改善に向かっているのか?・・・常にうつ状態が続いているかや、きっかけや出来事があれば気分が良くなる時もあるのかなども他の病気や症状と見極める基準になります。

・日常や社会生活に支障を来しているのか?

・人間関係に支障を来しているのか?

など、患者の経過から診断に必要な多くの情報を得ることができます。